東京高等裁判所 昭和53年(う)1836号 判決
被告人 隈部大藏
〔抄 録〕
そして、原判示事実、ことに、本件摘示事実が創価学会の教義批判の一環、例証としての指導者の醜聞の摘示であったにしても、本件摘示事実は、原判決も認定、説示するように、創価学会会長池田大作らの私生活上の不倫な男女関係の醜聞を内容とし、その表現方法も不当な侮辱的、嘲笑的で、文体、内容も不確実な噂、風聞をそのまま取り入れ、または、他人の文章を適切な調査もしないでそのまま転写するなどして、一般公衆を対象とする雑誌にこれを執筆、掲載して広く一般社会に公表したものであって、これにより一般公衆に対する警告あるいは社会全般の利益増進に益する等の効果は認められず、反面、右醜聞を摘示、公表された者の受ける名誉の侵害は重大であることなどを総合的に考慮すると、本件摘示事実を一般社会に公表することは公益上必要または有益であると認められないから、本件摘示事実は「公共の利害に関する事実」に係る場合に該当しないとして、公益目的及び真実性の有無を問うまでもなく、被告人の所為が刑法二三〇条の二の一項に該当しないとすることについて原判決が詳細に説示するところは、当裁判所もこれを首肯することができるのであって、かかる観点に立つ原審が、所論指摘の公益目的及び真実性の有無等の立証を許容しなかったのは当然の措置であって、何ら非難すべき点はない。
(新関 金子 小林)